というわけで、前回に引き続き日本橋のeイヤホンさんで高価格のDAPを試聴してきました。お目当てはAstell&Kern AK240/iriverだったのですが、先日発表されたPAW Gold/Lotooの試聴機も置いてあったのであわせて聴いてきました。共に15分少々と短時間での試聴なので、記憶違いや思い違い、確認不足などあるかと思いますが、あらかじめご了承ください。
・iriver/Astell&Kern AK240
こういうと反発があるかもですが、正直いって個人的にあまり良い感想はありませんでした。低音が強く出るAK120IIとは違って、若干高音寄りの音作り。その割には女性Vo.の艶やかささはあまり感じられず。音場の広さは流石といった感じ。分離は120IIと比べると少し落ちる気がしました。僕はバンドスタイルの音楽をよく聴くので、分離感はドラムのハイハットとクラッシュシンバルを基準にして判断してるんですが、その響き方が自分の好みではなかったです。ジャズやクラシックに合うという人もいるようなので、僕が聴くジャンルとは合わなかったということでしょうか。
見た目は「思っていたより小さくて薄い」というのが第一印象。画像だといかにもデカくてゴツそうに見えていたので、さぞかし大きいんだろうなぁと思っていたのですが、M3/Shanlingの一回りほど薄く・小さくて驚きました(M3がデカすぎるというのは内緒)。
UIは基本的にタッチパネル。3.31インチ800*480の液晶は一昔前のスマートフォンのようですが、他のDAPと比較すると相対的に良く見えます。側面のハードウェアキーである程度の操作が可能なのは良いと思います。動作はサクサクと言えるほどではないですが、ストレスが貯まるというほどでもなく。慣れでどうにかなるレベルでしょうか。個人的にはAndroid2.3時代っぽい動作だなぁという感じがしました。
全体としてはバランスの良い優等生タイプだと感じましたが、このDAP単体で25万円の価値があるかと言われると…。
・Lotoo/PAW Gold
こちらはAK240とは逆で、いかにも”作られた”という感じの音。低音寄りで楽しく聴かせるタイプのDAPでした。AK240とは対照的ですね。低音の締りや質感が良く、ベースラインを追うのが楽しい。キャラクター的にはDX90(j)やM3を洗練させた感じといったところでしょうか。低音寄りゆえ、高音の伸びや煌びやかさはそれほどですが、艶やかさと生々しさがかなり感じられるので、女性Vo.の曲と相性が良いのではないかと思います。
見た目について良く言えば「無骨で質実剛健」悪く言えば「本当に2014年に発売されたデジタル機器なの?」といった感じ。一目見てコレを買おうと思う方はなかなかの強者だと思います(個人の感想です)。UIは90年代初頭を思い出させる画面解像度とフォントが目を惹きます。初めて見た時はMS-DOSを連想しました。動作自体はかなりサクサクで快適。ハードキーの操作も非常にわかりやすいんですが、やはり見た目が相当脚を引っ張っている印象です。
その他。アートワークは埋め込み式では不可で、同一フォルダにjpegを置いておかないと表示されないそうです。M3ですら(失礼)flac埋め込みでちゃんと表示されるのに。外部記憶媒体はフルサイズのSD(容量2TBまで)が入ります。PCとの接続はUSB3.0対応。そこに関しては評価したいのですが、SDスロットのカバーはゴムで非常にチープ。SDを頻繁に出し入れしてると歪んでしまいそうです。サファイアガラス採用と強度を売りにしているようですが「あっ、そこはゴムなんだ…」とかなり引きました。
長くなりましたが、個人的に音は好きなタイプです。何度も言いますが、女性Vo.の艶やかさは非常に良い。しかし低音寄りという似たキャラクター性を持つDX90(j)と比べて20万円以上も高いということを考えてしまうと、一気に厳しくなります。5~10万円クラスのDAPであればかなり優秀なレベルだと思います。
僕個人の感想としては、「どっちか1つだけ5万円で譲ってあげるよ」って言われたならPAW Goldを。「どっちか自分の金で買えよ」って言われたなら「いらない!!」と答えます。
20万円超えの高級DAPはどんな感動的な音がするのかと期待していましたが、今使っているM3と大差ないなーというのが正直な感想です。聴く音楽によってはM3の方がいいなと思うことも多々ありました。そういう意味でも同じ金額をポータブルオーディオに投資するというのなら、自分が好きな音作りをするDAPとイヤホン・ヘッドホン。それにポータブルアンプ等を購入した方が幸せになれると思います。
え?マジで言ってるんですか?
?(´ω`)?