「例のグラボ」こと「Sapphire / RADEON RX 470 8G GDDR5 MINING QUAD UEFI」の改造と文鎮化と復活方法について。

投稿者: | 2019年1月18日

「例のグラボ」とは

2018年12月末から全国のユニットコム系列店で販売され、ここにきて自作PC界隈で話題になっている「Sapphire / RADEON RX 470 8G GDDR5 MINING QUAD UEFI」の中古品のことを指します。

仮想通貨の相場崩壊により、マイニングファームから大量に放出されたと推測されています(DMMのマイニングファームからではないかという噂も)。ユニットコムが相当な数を仕入れたようで、全国のパソコン工房やグッドウィル、Buy Moreなどにて税別5,980円で販売されています。

・Sapphire 〔中古〕RADEON RX 470 8G GDDR5 MINING QUAD 映像出力端子なし(R_RX470 8GB)(中古保証1ヶ月間) –  パソコン工房【公式通販】

ぼくは1月11日にその存在を知り、その日のうちに通販で2枚購入しました。なんとなく。勢いだけで。必要性? なにそれ。利用方法? いじってから考えます。

改造好き自作erたちの餌食に

例のグラボはマイニング専用ということで、そのままではグラフィック出力ができません。なのでCFXのセカンダリとしてや、eGPUとして利用するのが通常なのですが、例のグラボにはブラケットに隠れる形でHDMIポートが1つ実装されており、基板のパーツ未実装部分をジャンパやハンダブリッジで繋ぐだけでHDMIポートからグラフィック出力が可能になるということが判明。改造好き自作erたちのオモチャ…もとい話題となりました。

大阪日本橋 パソコン工房にて

しかしジャンパやハンダブリッジでは負荷がかかった際に画像が乱れるなどの不具合が発生するため、0.1μFのチップコンデンサ(1005サイズ。大きさは米粒以下)の実装による実用方法が広まりました。さらにその後、基板のシルク印刷や類似GPUの回路図などから、本来の性能を発揮するにはコンデンサのほかに抵抗やインダクタも必要なことが特定されました。(コンデンサのみの改造では4K60Hzの出力が安定しないようです。)

さらには未実装のHDMIやDPのポートを追加実装してマルチモニタ出力も可能にするという改造がいまも活発に行われています。改造についての詳しい手順は下記のブログが非常にわかりやすくまとめてくださっています。(ぼくもこの2サイトを見ながら改造しました。)

・噂のマイニング専用RX470を改造する – えぬえす工房
・噂のマイニング専用RX470を改造する Part2 – えぬえす工房

・マイニング専用RX470の隠されたHDMIを使用できるようにする。 – by wata_ge – DMM.make
・マイニング専用RX470 未実装のHDMI 2ポート目を使用できるようにする。 – by wata_ge – DMM.make

ぼくとしてはフルHDのシングルモニタ運用で十分でしたし、当時はまだ実装パーツの詳細が判明していなかったので、抵抗やインダクタ、HDMI、DPの追加はせずにチップコンデンサを16個実装しました。

コンデンサのみの実装でしたが無事動作しました。

改造後の所感

個人的に「これは気をつけたほうがいいな」とか「このアイテムはあったほうがいいな」と思ったことを記載しておきます。

>パーツ実装について
1005サイズのパーツに予備ハンダしておくのは非常に困難です。熱したハンダごての先にハンダをためておいてそこにパーツをくぐらせてもいいですが、パーツが熱で壊れる可能性もあります。なので基板の実装面に軽く予備ハンダをしておき、フラックスをつけておく方が無難でしょう。

精密ピンセットでパーツを掴んだまま基板の実装面で固定、片側に軽くコテを当ててます。片面がついたら精密ピンセットの腹の部分でパーツを抑えながら逆側にもコテを当てます。熱しすぎないよう注意です。これで固定できるはずですが、もしできなかった場合、面倒ですがまた基板に予備ハンダ→フラックス→実装という手順を繰り返し行ったほうが結果的には早く完成させられるとおもいます。

見た目上でちゃんと実装できたように見えても、実は片側が浮いていたとか、パーツ同士でブリッジしてしまっている可能性もあります。完成後にもフラックスをつけて、ハンダした箇所を1つずつ丁寧に熱していきましょう。

>必須アイテム
・ハンダごて:コテ先が細い方がよいです。
・ハンダ:これも細いタイプの方がよいですね。ぼくは1mmのハンダを使いました。
・精密ピンセット:米粒以下のチップを掴む必要があります。
・フラックス:なくてもなんとかなりますが、難易度はかなり上がります。

>あったらいいな的アイテム
・拡大鏡:このサイズの実装は目が疲れます。
・フラックス洗浄液:基板がベタベタするのが嫌な方に。
・ニブリングカッターor ポンチ+電動ドリル :ブラケットの穴あけ加工に。
・金やすり:穴あけ加工したブラケットの整形に。


購入した2枚とも無事に改造が終了し、RX 470 8GBとして正常(?)に動作することが確認できました。あとはvBIOSを書き換えてOCし、ベンチマークでも取るかーと思っていたのですが…。

突然の死

Sapphire / RX 570 8GBのvBIOSを焼いて再起動した直後に文鎮化しました。あーあ。ちなみに焼いたvBIOSはTwitterで成功報告があったものですが、個体差でしょうかね。まぁ仕方ない。

復活に向けて

ここからが当エントリの真に書きたいところです。(前振りが長い

幸い例のグラボを2枚購入し、ともに改造して動作するようにしていたので、2枚挿しの状態でOSを起動して、バックアップをとっていた元のvBIOSに書き戻せばいけるだろうとタカをくくっていました…が、甘かった。生存している1本をCFXのプライマリ、文鎮化した1本をセカンダリに接続。PCを起動しようとするとBSoDが発生(atikmdag.sys)。まぁいろいろやってみっかー。

-1時間後-

  • スタートアップ修復:解決できず起動不可
  • システムの復元:解決できず起動不可
  • セーフモード:起動可
  • セーフモード→atiflashでvBIOS書き換え:動作せず(そらそうだ)
  • セーフモード→デバイスマネージャ→ドライバ削除:起動するも10秒ほどでBSoD

とりあえずセーフモードでどうにかするのが一番だろうと判断して試行錯誤。

文鎮化からの復活

-もう1時間後-

なんとか復活しました。文鎮化からの復旧方法をまとめますと

  1. セーフモードで起動
  2. デバイスマネージャからvBIOSを書き込んだGPUを選択
  3. デバイスを無効にする
  4. 再起動
  5. コマンドプロンプトを管理者で実行
  6. atiflashでvBIOSを書き換え

この手順で元に戻せました。例のグラボが1枚こっきりだとぼくの環境ではグラフィック出力ができない(例のグラボの動作確認後、CPUをRyzen 5 2600に交換したばかりだった)ため、最悪ひっぺがしたばかりのAPUを載せるか、捨てようと思っていたGT 750を載せるかーと考えはじめたところでした。いやあ、よかったよかった。

https://twitter.com/relorah/status/1085886848465915904

オチ

さて、復活方法もわかったことだし、再び文鎮化するのを前提でつよそうなvBIOSでも焼いてみるか→Sapphire / RX 580 8GBを焼く→2枚とも何事もなかったように動作。えぇ…。(困惑

ちなみに焼きなおしたのはこのvBIOSです。文鎮化しても責任は取れませんので自己責任でどうぞ。
・Sapphire RX 580 8 GB BIOS (Nitro+) – TechPowerUP

そういえば 購入した2枚のうち1枚はセミファンレスのくせに負荷をかけていない状態でもずっとファンが回っていたのですが、 vBIOSを上げたあとはファンコントロールがまともに動くようになりました。

せっかくだからベンチマークを回すぜ

復旧作業のおかげで2枚挿しになってるんだし、vBIOSをRX 470 8GBやRX 580 8GBのものに書き換えたり、CFXにしたりしつつベンチマークを測定してみるかーと唐突に思いたち、3D Markをちょろちょろと回してみたりしました。

つよい。(確信

例のグラボ2枚で13,000円にパーツ代をちょろっと足してハンダづけしてvBIOSを焼いたらGTX 1080 Tiに近い性能を叩き出せるし、仮に1枚でもGTX 1060を超えてくるようなので、Polarisも捨てたもんじゃないなーっておもいました。

「例のグラボ」こと「Sapphire / RADEON RX 470 8G GDDR5 MINING QUAD UEFI」の改造と文鎮化と復活方法について。」への2件のフィードバック

  1. 匿名

    こんな面倒なことしなくてもiGPU持ちのCPU持ってるならbiosから出力プライマリーをオンボードにして
    またflashすれば元通りになるでw

    返信
    1. relorah 投稿作成者

      情報どうもです。
      まあま、ぼくみたいにiGPU環境つくるのが面倒なひともいるとおもいますのでw

      返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です