ChatGPTでミリシタを高解像度化するツールを作った話。(AMD GPU + Linux + Waydroid)

投稿者: | 2026年10月20日

はじめに

どうもこんにちはれろです。こちらにいらっしゃる皆さんはx86 PCにAndroid-x86をインストールしてアイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ(以下、ミリシタ)というスマホ音ゲーを動作させる機運があることについてはご存知かと思います。(挨拶

一応ご存知でない方にも説明しますと、2018-2019年ごろのAndroidスマホはお世辞にも性能が高くなく、3Dゲームがまともに動くようなタブレットもほとんど存在せず(Nvidia ShieldとかGalaxy Tabはあったけど)、かつデレステの3Dリッチやミリシタの13人・39人ライブが実装されたこともあり、スマホ音ゲーユーザーは3Dゲームが快適に動作する端末を欲していました。

当時のメインPCのCPUがZen+(Ryzen 5 2600)で、スマホはiPhone8からPixel3に乗り換えたころです。映像出力端子がないマイニング用のRadeon RX 470を「例のグラボ」って呼んで改造してたころですね。

Android-x86の話

Android-x86はx86 PCのマシンパワーを使ってAndroidを動作させることができます。ミリシタを動作させるには特殊な設定(古いAndroidのファイルを移植したり)をする必要がありましたが、環境を作ってしまえばスマホとは比較にならないほど軽快にミリシタが動作しました。大画面モニタでライブMVを楽しむもよし、タッチパネル付きモバイルディスプレイで音ゲーを遊ぶもよしといったところで、自分も長らく愛用していました。

ミリシタは13人ライブMVが重く、CPUクロック依存が大きい(デレステはGPU依存)、BIOSのCPU設定で挙動が変わるなどで、ベンチマークとして位置づけられていました。ぼくもPrincess Be Ambitious!! 13人ライブで動作検証していました。曲良いMV可愛い負荷デカいの三拍子そろった名曲です。

上の動画の10秒あたりで決まってカクッとプチフリするのですが、BIOSでC-State OFF、SMT OFF、4コアにするとCPUがサボらず処理落ちしないと気づいたときはめちゃくちゃ興奮しましたね。

GLtoosというアプリでGPUを偽装し、内部描画を高画質レンダリングして4Kデレステだーとか、色んな人が色んなことをうんたんした結果、高解像度描画されるようになったミリシタHQだーとかいろんな物がありました。このころはAndroid-x86を利用するユーザーもですが、技術的知見と好奇心を持った方が多かった記憶です。自分は知識がなかったのでタダ乗りだったのですが、非常に楽しい時代でした。

その後はAndroid端末の高性能化、Androidタブレットの販売拡充などもあり、Android-x86界隈は下火となっていきました。しかしそんななか、2026年8月にホーンテッド四畳半氏(以下、mogareta7731氏)が、Mesa GLES Render Scale(以下、RTScale)を使用することにより、ミリシタの内部解像度をn倍にレンダリングする手法を公開されました。

・Mesa GLES Render Scale(Render Target Scale)について – note
・Mesa GLES Render Scaleの利用例 – note

ぼくが知る限り、mogareta7731氏は2019年以前から最新のMesaやKernel(Linuxのシステムファイル)を導入したAndroid-x86 ISOを開発・発信されており、当時からその恩恵にあずかっていました。

ただ、Android-x86はPCがミリシタ/デレステ専用機になること、導入がCUIベースのため若干敷居が高いこと(mogareta7731氏のISOには導入マニュアルも用意されています)、直でAndroidが動作するのでカスタマイズが専門的になること、Ubuntu上でのメンテナンスもLinuxの知識が必要なこと、ミリシタとデレステに特化したゆえ他のアプリがほぼ動作しないことなどの課題がありました。

Linuxデスクトップ元年(諸説あり)

Steamを運営するValve社の躍進もあり、ここ数年は毎年「Linuxデスクトップ元年」と言われています。

ValveはSteamの存在もすごいのですが、Valveが開発するProtonというLinuxベースの互換レイヤーと、GamescopeというWaylandコンポジタがかなりのモノで、今の時代にLinuxでWindowsゲームを動かすには非常に重要なファクターとなっています。(今回は本筋ではないので説明は省略)

そのProton等がすごいおかげで、これまでの「ゲームするなら当然Windowsだよ。Linux?ああ、動くのもあるよね、マインクラフトとか?」から、x86 PCにLinuxディストリビューション(Fedora / Bazzite / CachyOS / SteamOSなど)をインストールして据置ゲーム機にしたり、Asus Rog AllyなどのWindowsハンドヘルド機にSteamOSをインストールするのがひそかに流行ったりと、以前と比べて「アリよりのアリ」な状況になってきました。今年の元年は本物かもしれません。

自分は2025年秋にAMD BC250というPS5の選別落ちAPUを利用したマイニングボードで遊ぶにあたり、最近のLinuxの流行を知り、その流れでBazziteとFedoraを少し触ったのですが、その際にLinux上でAndroidをネイティブに動かすWaydroidというアプリを知りました。

そして2026年8月、mogareta7731氏のRTScaleの情報が公開。当初はAndroid-x86で試行錯誤したのですが、BC250の性能を活かせなかったのでLinux環境を検討。大雑把にいうとAndroidはLinuxです。じゃあBC250がフルスペックで動作するCachyOS + Waydroidでやってみるかなと。

対話式AIとバイブコーディング

新しいKernelやFirmwareが適用されているLinuxディストリビューションを使えば、ミリシタ on Android-x86の動作性とLinuxのメンテナンス性を両立できるのでは。それだけでなくミリシタ起動のためのパッチ処理をスクリプトで自動化したり、設定のコマンドライン操作をアプリ化すれば、複雑で煩雑な操作に追われることがなくなるのではと考えました。

しかし自分にはAndroidはおろかLinuxのスキルもありません。そこで話題の対話式AI、ChatGPTとCodexを利用しました。結果的にはこれが大当たり。LinuxのWaydroidでミリシタを正常に動作させるのは一手間かかる(ARM Translator関連)のですが、そこは先人の知恵や知見を元にググりまくり、ChatGPTに質問しまくり、Codexにぶん投げまくりでなんとかなりました。AIサイコー。

最初はChatGPT無料版で相談。じゃあアプリ作るかーという段階で3,000円/月(初月半額だった)のPlusプランに加入してはひたすらコピペ。少ししてからCodexも導入して半自動で作業させました。かなりトークンを利用しましたが、ちょうどリセットが連発された時期だったので追加課金は不要でした。

MWI/MWMについて

2週間ほど試行錯誤した結果、Linux環境下でWaydroidを導入してミリシタ動作環境を構築するアプリと、ミリシタ起動時にRTScale等を適用して高画質化させるアプリをリリースするにいたりました。

・MLTD Waydroid Installer (MWI): waydroid_script、test_libnb等を導入するインストールスクリプト
・MLTD Waydroid Manager (MWM): RTScaleの適用と設定、Gamescopeの描画等を管理するGUIアプリ

RTScaleの情報を開示してくださったmogareta7731氏、MWMをテストしてくださったはうあみ氏に感謝します。MWMで使用されるRTScaleは、mogareta7731氏の情報を元に独立実装されたものです。

アプリの詳細はgithubをご確認ください。動作条件はLinuxOS + AMD GPUを搭載したx86 PCです。自作PC(dGPU)でもノートPCやNUC、AMD BC250(iGPU)でも動作します。IntelやnVidia GPUは対象外です。ちなみにMLTDはミリオンライブ!シアターデイズの海外における略称です。

RTScale比較画像

Github用に色々撮影したのですが、楽しくてついつい撮りすぎたのでここで供養します。

・蝶々むすび – 13人ライブ RTScale検証

・一旦愛して♡ – 3D標準 RTScale検証

・DIAMOND JOKER – 3D高画質 RTScale x6

・Princess Be Ambitious!! – 3D高画質 13人ライブ RTScale x3 32:9

・Thank You! – 3D高画質 39人ライブ RTScale x3 32:9

・蝶々むすび – 3D高画質 13人ライブ RTScale x3 32:9

RTScaleのON/OFFは3D標準と比較するとわかりやすいと思います。3D高画質では背景のキャラ描画が特に鮮明になります。全体的に線がはっきりした感じになり、特にキャラの輪郭線は差がでる印象です。

32:9はCachyOSデフォルトのスクリーンショットだと外側に白枠が出てることがあるようで、せっかくだしキレイに取れる撮影機能を実装したい。あとはGamescopeでマルチモニタのサイズ違いでも小さい方のモニタは上下切って共にフル画面で描画するのもやりたいところ。

あとは3D標準を RTScaleでn倍レンダリングしたら、3D高画質とほとんど差異がなくなるんですよね。まあそれはそうかという感じなんですけどちょっとびっくりでした。あとFSR1のアップスケーリングとシャープネスが案外GPUパワーが必要だとか、検証してて分かったことが多くて面白かったです。

終わりに

今回のアプリ制作ではChatGPTとCodexに頼りきりでした。ぼく自身は初期はコピペマシーンに、Codex稼働後はChatGPTのトーク管理マシーンになりました。途中でハルシネーションを起こしたり、PC間で情報伝達されてなかったり、伝えたことを忘れていてブチギレたりしましたが、素人が対話式AIに「あーだこーだ」と指示するだけで動作するアプリが開発できるというのは、AI時代のすごさというか、恐ろしさを感じました。

おかげでDRAMを買い占めて価格高騰を起こしたOpenAI CEO サム・アルトマンへの怨嗟も39%ほど和らぎました。が、今度はChatGPTのトークン消費が厳しくなり、しゃーないLLMでもやるかーと思ったけどVRAM / DRAMともにアホみたいな値段になってるのでメチャ許せん。

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