LH Labs / Geek Wave についての新展開

投稿者: | 2023年10月2日

ここにきて急に動きがあったのでまとめました。思い出しながらつらつらと書いていますが、なにぶん昔の話なので記憶違いなどあるかもしれません。ご了承ください。

Geek Waveとは

2014年にLH Labsという会社からIndiegogoという海外のクラウドファンディングサイトにて出資が募られたDAP(Digital Audio Player。いわゆるウォークマンのようなもの)です。当時としては革新的な技術を引っ提げ、およそ9500人から2.5億円という多額の出資を集めました。しかし開発は難航し、2021年ごろから更新が途絶え、今はすでに開発が中止されています。

Geek Wave: A No-compromise Portable Music Player | Indiegogo

LH Labsとは

アメリカのLight Harmonicという100万円を超える高級オーディオを製造・販売している会社がクラウドファンディング用に立ち上げた会社です。高級オーディオの技術を中価格帯に落とし込むという実験的なコンセプトであったと記憶しています。

このLH Labsは主にIndiegogoにて出資を募って製品を製造・販売していていました。出資から製品が完成するまで数年単位と非常に時間がかかるものの、製品の出音は素晴らしく一部オーディオファンの間では(2-3年待てるのであれば)コストパフォーマンスが高いと評判でした。

クラウドファンディングは小型のUSB DAC(Digital to Analog Converter) Geek Outシリーズからはじまり、据置DAC/ヘッドホンアンプのGeek Pulse、新世代のDAP Geek Wave、ポータブルDACのGeek Out V2+と続きました(中止となった企画もいくつかありますが省きます)。

Pulseの歓喜とWaveの失望

2013年に出資が開始されたGeek Pulseは、当時のDAC/アンプではほぼ搭載されていなかったバランス出力を搭載するなど非常に意欲的な製品でした。大手サイトで取り上げられたこともあり、およそ13000人から総額4.5億円もの出資を集めました。年単位の遅延もありましたが、LH Labsはプロダクトを完成させ、2016年には全数出荷にたどり着きました。ぼくはクラウドファンディング終了後に存在を知ったのですが、2016年にフォロワーさんから譲ってもらった最上構成のGeek Pulse X Infinityと、後に海外より輸入したGeek LPS4(外部電源)をあわせて今もメイン機として愛用しています。

Geek Pulseは製品単体で見ると出音がよいDACですが、長年待たされた出資者は不満をもつ方も多く、全体的に見ると評価は割れていたように思います。製品が到着しだした2015年には海外のフリマサイトに未使用品が原価割れで出品されているのもよく見かけました。

2014年。Geek Pulseの製造と平行してGeek Waveの出資募集が発表されます。(納期はともかく)高品質な据置DACの次はDAPだ、これも期待だーと訓練されたオーディオファンは大いに盛り上がったのですが、先に書いた通りGeek Waveは開発が難航。2021年頃には更新も途絶え、しばらくしてLH Labsは消滅。出資したお金も返金されることはありませんでした。

クラウドファンディングについて

ユーザーはプロジェクトに対してリターンを求めて出資します。メーカーは当然商品を製造・販売のために努力をしますが、すべての商品が無事に完成してユーザーの手元に届くという保証はありません。モノが完成しなければRefund(返金)となりますが、メーカー側が返金要請を無視するパターンも多く、そうなると出資したユーザーは泣き寝入りとなります(クラウドファンディングサイトは保証も補填も行っていないため)。

以前紹介したSeiun ProXというDAPに出資を募ったCyberDrive社は返金すると公言しながら、実際にはほとんどのユーザーに返金しておらず、出資者からの問い合わせには無視を貫いています。

LH Labsの登場により盛り上がりをみせたオーディオ系クラウドファンディングでしたが、Geek WaveとSeiun ProXという詐欺のような案件が立て続けに発生したため、一気に下火となりました。

その後の急展開

つい先日、数年ぶりにDropBoxのファイルを整理しているとGeek WaveとSeiun ProXのプロダクト画像を発見。思い出しムカつきながらそれをTwitterに上げたところ、orcinusさんから有益な情報をいただきました。なにやらLight HarmonicがGeek Wave出資者に補填として自社のイヤホンを配っている(いた?)とのこと。Head-Fiという海外のオーディオ交流サイトで話題になっていたそうです。

情報に感謝しながらさっそくLight HarmonicとCyberDriveにメールとHPの問い合わせフォームから「返金しろ」と送信しました。すると翌日Light Harmonicから連絡がありました。えっ、マジで?

テンプレですがGeek Waveの製造中止について詫び、補填として同社のイヤホンを発送するとのことです。すでに150件を超える対応をしていると自画自賛していますが、いやお前それ自発的にユーザーに連絡取れよ(;´д`)とは思いつつ、まだ対応する気があるのは評価せねばなりません。

公式HPをみるとイヤホンは一番安いもので定価$499でした。ぼくがGeek Waveに出資したのは総額$389です。差額を負担しろといわれたら徹底抗戦するつもりで数度メールのやりとりをしました。

Mera Scarlet | Light Harmonic

イヤホンの実売価格を調べてみると、Aliexpressにて箱・保証書なしで17,000円程度で売られていました。箱・保証書つきだと24,000円程度。金属筐体でD型ドライバ搭載とのことなので、出音次第ですがこの価格なら普通に買ってもいいかなーって感じの値段でした。

https://s.click.aliexpress.com/e/_DBzQgpp
https://s.click.aliexpress.com/e/_DBCRskR

個人的には返金どころか何も届かないだろうと思っていたので補填のイヤホンでOKしました。送付先を伝えたところ送料$53を請求されましたが、商品の差額は請求なく、決裁したところトントン拍子で話がすすみ、メールから3営業日ほどで商品(と言っていいのかな…)が発送されました。中華通販みたいに偽のトラッキングNo.を送っている可能性もあるので気が抜けませんが、初出資から9年経過してようやく成果物があがってきそうです。

ちなみにSeiun ProXのCyberDriveからは何の連絡もありませんヽ(`Д´)ノ金返せ

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