はじめに (本筋と全く関係のない話)
台湾のGeeekというメーカーがよさげなmini-ITX用PCケースを発表したのですが、発売日の記載もなくTwitterと公式HPで質問するも明言されず。もしかして中国の通販サイトですでに売っているのではと検索してみるとalipexpressとtaobaoで発見。aliよりtaobaoのほうがかなり安く、お店もGEEEKの旗艦店だということでtaobaoから購入しようと決意しました。
これまでtaobaoは輸入代行でしか利用していなかったのですが、今回は代行を使わず自分で購入してみようとググってみたところ、taobaooには混載(複数の荷物をまとめること)することで送料を抑えてくれるシステムがあるそうです。せっかくだし他になにか一緒に買うかーと考えたところ、一番最初に思いついたのがminiDXです。なのでminiDXを買いました。(真顔
しかしぼくの手配ミスでGeeekのPCケースは海上輸送、miniDXは航空輸送になってしまい、結果的に運賃が別々に発生。ついでであったminiDXが先に到着してしまうという始末…。
ということでYuancon / miniDXのレビューです。
Yuanconとは
・Yuancon Store
・Twitter1 @yuancontop (公式情報など)
・Twitter2 @kunyuan0312 (試作画像・動画など)
・Discord YuanCon – Controller Maker (試作画像・動画、入荷情報、ドライバ配布など)
Yuanconは中国のガレージメーカーで、beatmania IIDX(以下弐寺)やSDVX、ポップンミュージックといったKONAMIの音ゲーだけでなく、GROOVE COASTERや太鼓の達人、maimaiなど多岐にわたる音ゲー用コントローラを製造販売しており、近年になって知名度が上がってきまた。ぼくも2021年にDX5thという弐寺用コントローラを購入したことがあります。
DX5thはDJ DAO / PhoenixWanの対抗で、ACと同じサイズのスクラッチ(以下 皿)を搭載し見た目も格好よかったのですが、残念ながら細部の作り込みが甘く、万人にオススメとはいえない商品でした。
miniDXについて
miniDXは2021年10月ごろに発売されたようです。当初は中国国内のみの販売でした。何度か?リビジョン変更がされたのち、2023年2月から海外発送にも対応している公式HPで取り扱いがなされはじめ、日本国内や海外で一定の評価を得ています。
ぼくのYuanconに対する印象は「面白いものを作るけど品質はそれなり」といったところでした。ではなぜminiDXを購入したかというと、筐体サイズが127x377xH87mmと超小型で唯一無二だからです。フットプリントはテンキーレスキーボードより小さいぐらいです。よくこんなものを作ったなと。デザインの勝利といったところ。皿が直径124mmと小さかったり(ACやDX5thは220mm)、オプションボタンが鍵盤と皿の間に配置されてたりとかなり挑戦的な形状です。
仕様
- 鍵盤:中華ボタン (いわゆるDAOボタン)
- バネ:公式いわく60g
- スイッチ:D2MV-01-1C3 (0.49N)
- 皿機構:ロータリーエンコーダ式
- 皿サイズ:直径124mm
- 本体サイズ:127x377xH87mm
- 重量:2.2kg
- 価格:$139.00+送料$28.00

外見
サイズ感はさすがといったところ。改造済み専コンと比較すると小ささがよくわかると思います。
筐体の材質はアルミでしょうか。金属製で剛性があり重さも感じられます。DX5thのときにあったような塗装ハゲやチープな底板などビルドクオリティの問題はありませんでした。質感もよく見た目もスタイリッシュに感じます。しかし最初から一部のネジが緩んでいたり汚れやゴミが付着していたりと品質管理はイマイチです。

内部
小型なだけあって配線がシビアです。鍵盤部をバラして2P側へサイドチェンジしたのですが、鍵盤ボタンのケーブルが短く基板が破損しそうなほどテンションがかかってしまいます。試行錯誤しながらなんとか配線しましたがこれは頂けないですね。1P↔2Pのサイドチェンジもケーブル長のせいで天面・底面・基板のコネクタまで外さないとできません。この点は非常に残念です。
基板はDX5thと同じようです。シルク印刷もされており視認性が高いです。ねこもいます(かわいい)。

ハードウェア
鍵盤・バネ・スイッチはバランスがいいです。自分は軽めが好きなので40gバネに換装しました。
皿用のロータリーエンコーダは1個1,000円以上するものがついてました(おそらくDX5thと同じ)。DX5thのときもそうでしたが調子よく回ります。細かいところですが皿固定のネジがナベネジで頭が出ているのが少し気になります(以前要望でザグリ+皿ネジにしてほしいとは伝えていた)。
その他
2P配置での視点ですが、オプションボタン1を押下しながらPCに接続することでキーボードモードに。2はデジタル皿のコントローラモード、3はアナログ皿のコントローラモードと設定を切り替えることができます。自分はやっていないので確認できませんが、LR2やbeatrajaでも問題ないと思います。Infinitasをプレイするときはモード3にします。
操作性
鍵盤
デフォルトで軽く打鍵してみましたが金属筐体のせいか反響音がすごい。静音化(バネにシリコンスプレーを吹き鍵盤部分に厚紙を入れる)することでかなり改善しました。内部の高さがギリギリなせいか打鍵時に底打ちする感じが少しあります。配線をうまいこと収納してやる必要があるかもです。
皿
DX5thのように感度が高く軽い力でよく回りますが減衰も大きいです。感度はフェニワンの最高設定より高いです。皿曲(Watch Out Pt.2 SPA)をやってみたところいきなり自己ベストがでて困惑しました。
サイズが直径124mmと小さいため鍵盤-皿の直線距離が短く(鍵盤-皿の水平距離は92mmでACやDX5th、PhoenixWanと同じ)、手首皿で回しやすいです。押し押しBSSも問題ありません。指回しのBSSは慣れが必要に感じました。皿の感度を調整する機能はなく、重くしたい場合は皿の下にフェルトなどを敷く必要があります。ただし鍵盤と比較した皿の高さ位置がACと比べて10mmほど低いようです(鍵盤に近い)。
オプションボタン
小型化の弊害が如実に現れています。誤反応防止のためだと思われますが、ボタンの接点が奥の方にありかなり重めなため、短押しや連打で反応させるのが困難です。皿チョンやシャッター外しもそうですが、選曲画面のオプション設定もやりづらく慣れが必要そうです。
その他
剛性と重量があるため激しく打鍵+皿を回してもズレるといったことはありませんでした。付属のゴム足が優秀なのかもしれません。自作コンは木製で軽いため、高難度曲を続けてプレイするとコントローラがズレていってストレスだったのでこれは助かります。
購入費用
taobaoでの購入費用は
- 本体価格:849元
- 送料 (倉庫→空港):23元
- 送料 (空港→自宅):108元
総額980元≒2万円(1元20.3円)でした。ちなみにYuanconの公式ショップで購入すると本体$139+送料$28=$167≒24,800円(1ドル148円)となりますので5,000円ほど安くつきました。
しかしtaobaoは全部中国語のみで、一部のクレカが通らなかったり、(混載だと)自分で発送手続きをする必要があったりと手間がかかります。そう考えると公式サイトで購入するのもアリだと思います。
・Yuancon Store (公式):https://yuancon.store/controller/minidx
・YUAN Controller Zone (taobao):https://shop107063263.world.taobao.com/
最後に
現在2万円前後で買える弐寺コンは公式のエントリーモデル(1.88万円)しかありません。
エンコンは専コン(PS2の弐寺専用コントローラ)と大差ない作りだそうで、ボタンがハマったり、鍵盤-皿距離が近かったりであまり評判がよくないようです(静音性は高いらしいので一定の需要はあるそう)。コントローラを自作しても1.2~1.5万円ほどかかることを考えるとminiDXのコスパはなかなか高いと思います。またこのサイズは唯一無二で見た目もよいので所有欲も満たせます。届くまで不安がありましたが、今は非常に満足しています。
ただ品質管理はイマイチのため、到着したら静音化もふくめて鍵盤部の全バラを推奨します。小型なこともあり作業は大変になるため、弐寺コンの手入れの知識や経験があることがminiDX購入の前提条件になるかなと考えます。
すでに弐寺コンを持っている/持っていた人にはオススメです。もしメインで使うつもりであれば操作性やメンテナンス性の割り切りと覚悟が必要です。その点だけはご注意ください。