はじめに
先日DELLより発表発売されたG3223Qというモニタ。32インチ/4K/144Hz/IPS/GtG1ms/HDR600/三辺薄ベゼルと属性てんこ盛りでクーポン適用価格がなんと67,887円(税込)とのことで、明らかに割引設定ミスってるよなーっていう感じだったので発表直後に飛びつきました。
Dell 32 4K UHDゲーミング モニター – G3223Q
(現在は販売価格が修正されて108,416円になっています)
注文しても普通にキャンセルされるだろうなと思っていましたが、4日?ほど価格がそのままだったので「あれ、マジで届くのか?」と困惑。即発送されてさらに困惑。今使ってるLG / 32GK850F-B(WQHD 144Hz 黒挿入対応)をどうしようかと思ってるうちに到着してしまいました。
時系列
- 23/03/11 14:32 PCWatchにて一報が出た直後からTLがざわつく
- 23/03/11 15:00 一瞬迷うも購入👺
- 23/03/14 佐川急便にて発送
- 23/03/15 到着
スピード決着でした。ちなみに3/11晩に購入した方は納期が5月とか6月っていわれてるみたいですね。
到着・開梱・設置
箱がデカい。同じ32型である32GK850F-Bよりも一周りデカい。平日20時頃受け取って飯食って風呂入ってから開梱。箱類がデカいということは組み立てるとダンボールやスペーサーといった資材だけで部屋が埋まるわけですよ。床にモニタを仮置く場所がなくなったので無理矢理デスクに乗せてみた。
とりあえずDisplay Portで繋いで動作確認。ザッとみたところ問題なし。んじゃ32GK850F-Bを片付けるかーと思ったけど、せっかく2枚並んだんだし音ゲーで入力遅延の比較や黒挿入による差を確認をしてみるかーと思いたちました。
検証環境
自分の用途はPC作業と音ゲー(beatmania IIDX(通称弐寺) Infinitas、1280×720 120Hz対応)がメインなわけです。というわけで今回は音ゲーに特化したレビューをしていきます。開封のうんたらーとかこの機能がーとかそういうのは他のサイトをみてください。
環境は下記になります。
- PC:Lenovo / ThinkCentre M75q Gen 2
- CPU:Ryzen 7 4700GE
- RAM:8GBx2
- GPU:Vega8
- SSD:PCIex3 NVMe 500GB
- 映像出力:WQHD(2560×1440) 120Hz ミラーリング
- モニタ:LG / 32GK850F-B(左)、DELL / G3223Q(右)
Lenovo / ThinkCentre M75q Gen 2は映像出力がHDMI/DisplayPortともに1つずつしかないため、32GK850F-BをHDMI/G3223QをDPで接続してミラーリングしています。厳密に測定するのであればHDMI分配器を使用すべきなのでしょうが120Hz分配の環境がないためご了承ください。
検証
音ゲー用途として気になるのは
- 入力遅延はどれぐらいか
- 黒挿入機能(モーションブラーリダクション)がないが残像感はどうか
- 応答速度を高めた際のオーバーシュート発生の有無
- ティアリング発生の有無
あたりだと考えます。その4点をザザッと検証して雑にTwitterでまとめましたが、せっかくなのでもうちょっと掘り下げておきます。遅延測定はDbちんぺいさん(@db_chinpei)がやってらっしゃった方法を丸パクリしました。
応答時間についてですが、G3223Qのマニュアルには「高速(GtG4ms)」「超速(同2ms)」「最速(同1ms)」とあります。「最速」+FreeSync有効が一番いいのでしょうが、環境の依存やGPUの設定、オーバーシュートの発生などもあるため今回は「高速」で検証しました。(Twitterでは1msと書いていましたが実際は4msでしたすみません。)
ちなみに240fpsで動画を撮れるようなちゃんとしたカメラなんぞ持っていないのですが、先日たまたま貰った入手したiPhone12のスローモーション撮影が240fpsで撮影できました。いまのスマホすごいね。サンキュー孫。サンキュージョブズ。
検証結果
・入力遅延
スローモーション撮影した動画で確認したところ、1フレーム(8ms)以下ですがG3223Qのほうが32GK850F-Bよりも優秀ですね。32GK850F-Bにあわせた遅延設定でしばらくプレイしてみたところ音ゲー側で入力遅延の設定をいじってやる必要がありました。
・残像感
これは一見してわかりました。黒挿入機能がある32GK850F-Bのほうが残像が少ないです(個人的に32GK850F-BはACのLM筐体を超えていると思います)。G3223Qの残像感は応答時間の設定を「最速」にしてFreeSyncをONにすることで多少改善しましたが、それでも32GK850F-Bのほうが明確に優秀です。
・オーバーシュートの有無
ぼくの弐寺プレイ環境は白数字合計580/緑数字290なのですが、応答速度「最速」+FreeSync ONで問題はありませんでした。応答時間は残像感に直結する項目なので速い設定にしたいところですが、音ゲー側のノーツ表示設定にも依存する部分なので細かな調整が必要になりそうです。ちなみにDELLの他機種では「普通」という項目があるようなのでG3223Qの応答時間はゲーミングモニタの名に恥じないってことなんでしょうね。
・ティアリングの有無
FreeSync OFFではまれにティアリングが発生しました。ONでは問題がなくなりましたがこれも様々な要因が関わる話なので断言できません。
その他感じたことなど
○電源内蔵のためACアダプタが不要でスマート。
→そのぶんちょっとだけ筐体が分厚いけどこれは仕方ない。
→重量バランスが真ん中に偏重しているのか、大きさの割には軽く感じる。
△USB-C映像入力は非対応。下位モデル(WQHD/144Hz)には搭載されてるのでなんだかなー。
△OSDの階層が深く、設定項目がわかりづらい。
×ボタンひとつで入力端子の切り替えができない。
×接続端子が下向きなのでモニタを下げるとケーブル類が干渉してしまう。
→モニタアームで位置を上げたときはケーブルが垂れて見た目がよくない。
→特にUSBハブとイヤホンジャックの位置が悪い。実質利用不可と思ったほうがいい。
XX右側背面裏側に操作用ジョイスティックとボタンがあるが、操作するとかなりモニタが揺れる。
→モニタ右側に物を置くと設定ボタンが押せない。設計ミスなのでは…。
?初期の色合いはかなり黄色い感じ。要調整。
→カラープロファイルはeRGBがいい感じ(プリセット→作成者→色空間→eRGB)
?ブルーライトカットは正直よくわからん。
?黒画面で部屋を消灯するとバックライトが左右ちょっと漏れてるかも?通常使いではわからん。
こうして書き出してみると細かいところがかなり気になりますね。モニタ自体は高性能ですがかゆいところに手が届かない印象です。高級ゲーミングモニタを謳っててこれはいただけません。
総括
音ゲー用モニタとしての評価は「高水準ではあるが最高クラスではない」と思います。4K/144Hz対応のゲーミングモニタが6万円台(他社の半額)というインパクトはすごいのですが、これが定価の10万円後半だったらどうかなーというのが正直な感想です。
入力遅延は優秀です。ただ今の音ゲーって遅延設定があるのでFPS/TPSと違って数msの入力遅延ってどうとでもなるんですよね。その辺りが音ゲーとFPS/TPSとで違うところであり難しいところです。
残像感については応答速度が早くFreeSync Premium Proにも対応してはいますが黒挿入機能がないため32GK850F-Bには負けています。一般用途やFPS/TPSといったゲームであれば評価する点は多いのですが、音ゲーという特殊な環境においては黒挿入機能がないという一点のみで大きく減点されてしまいます。
32型/4K/IPSパネルは高精細で文字がきれいだなーすごいなーとは思いますが、音ゲー用モニタとして最適かと言われると疑問符です。それ以外のPCゲームもプレイするとか、PS5やXBOX X/Sを繋ぎたいとか、4K動画を視聴したいとか、HDR600を体験したいとか、高精細な文字を見ながら入力作業をしたいといった目的がある方にはG3223Qはオススメできます。
数ヶ月から数年経てば4K/高リフレッシュレート対応モニタの価格もこなれてくるでしょうし、そうなったときにどのような評価がされるかは気になるところです。